私の持っているレコードプレーヤーは、1970年代のLo-D製(日立)と廉価版のプレーヤーaiwa PX-E800です。いづれも高級機と言えません。カートリッジはMM型です。
一般にMCカートリッジの方がピックアップ部の振動系の重量が軽く、針がレコードの溝を正確にトレースしやすく繊細な音が出ると言われています。
どんなものなのか聞いてみたいものです。
MCカートリッジは出力電圧が低い
カートリッジは磁石(Magnet)とコイル(Coil)のいづれかが振動して磁界を切る時に発電する構造を持ってます。
レコードの溝の形状によって針先からカンチレバーの先に固定された磁石またはコイルが振動して発電しています。
Magnetが動く方式をMM型、Coilが動く方式はMC型と言います。
MM型のコイルに比べMC型のコイルは振動部分に属するのでコイルの巻き数を多くできません。巻き数を増やすと高い出力が得やすくなりますが、重量や体積が大きくなってレコードの溝を正確にトレースする事が難しくなるからです。
そのため、MMカートリッジの出力が3mV以上に比べMCカートリッジは約10分の1の0.2~0.5mV程度と出力電圧が低くなります。
MCカートリッジでレコードを聴くには何が必要
アンプとスピーカー以外でMCカートリッジでレコードを聞く際には次の2つの信号処理ができる回路や装置が必要です。
- 出力電圧を上げる回路・装置
- RIAA補正をする回路・装置
1と2を同時に処理できる装置としてイコライザーアンプ、MC対応プリアンプ、MC対応プリメインアンプを使う方法もあります。
一番手っ取り早く低コストなのはMCカートリッジ対応のフォノイコライザーアンプを導入する。
他の方法としてはMC対応のプリメインアンプを用意する事です。
もっとマニアックにやるのであれば、出力電圧を上げる装置、RIAA補正をする装置を個々に用意する必要もあります。
出力電圧を上げる回路・装置
①トランスを使って出力電圧を上げるか②ヘッドアンプを使って出力電圧を上げるかの2択となります。
① MC昇圧トランス
巻き数比1:10~1:20程度のトランスを使って0.3~0.5mVの電圧を数mVのMM型カートリッジ出力のレベルまで昇圧します。利得は10~20倍(20dB~26dB)程度です。
製品仕様 MC昇圧トランス Phasemation T-320
最適カートリッジ 出力インピーダンス |
1.5〜40Ω ※使用可能カートリッジ出力インピーダンスは1.5〜40Ωとなります。 |
---|---|
負荷インピーダンス | 47kΩ |
昇圧比(電圧利得) | 26dB |
周波数特性 | 10〜50kHz(±2dB) |
外形寸法 | 136(幅)x92(高さ)x134(奥行)mm |
重量 | 1.3kg |
入出力端子(RCA) | 金メッキ端子 |
② ヘッドアンプ
トランジスタやオペアンプ、真空管を使って電圧を約10~20倍程度にします。
純粋にMCカートリッジからの信号を増幅するだけです。商品としてはあまりなく、ヘッドアンプ+RIAA補正機能を持つフォノイコライザーアンプを選択導入する方が多いものと思います。
出力インピーダンス 1.8kΩ
入力インピーダンス 1,000MΩ、330Ω切り替え
歪率 定格入力の10倍における2.5mV入力時で0.3%
周波数特性 3Hz〜700kHz -3dB(47kOhmと100pF負荷)
入力換算雑音電圧 -156dBV
バッテリー ニッケル水素006P(8.4V×6個)
本体サイズ 120W×200D×50H mm(スイッチ、端子部含まず)
質量 885g
RIAA補正をする回路・装置
録音時はカッティングマシンでレコード盤に溝を切るのですが、普通にカッティングすると、低音域はでは隣の溝の部分にまで溝が切れてしまう恐れがあります。高音域では振幅が小さくノイズの影響を受けやすくなります。
そこで、上記の反対の考え方で、低音域はあらかじめレベルを下げて、高音域はレべルを上げてカッチングすれば、レコードの溝に効率よく、ノイズの影響を行けにくい録音ができます。この補正をする処理をRIAA補正と言います。
レコード再生時には録音時と反対に低音域はレベルを上げ、高音域はレベルを下げる逆RIAA補正をしてあげれば、元通りの信号のレベルに戻るというわけです。
レコードの場合逆RIAA補正をする装置を単にPHONOイコライザーと呼んでます。
厳密に言えばフォノイコライザーはAMPなしの単独の回路、装置となります。しかしフォノイコライザー単独の製品(アンプなし)を私は見たことがありません。
ノイズも拾いやすくなるので製品としては以下に述べるフォノイコライザーとアンプを組み合わせたフォノイコライザーアンプが一般的に発売されています。
出力電圧を上げ + 逆RIAA補正をする回路・装置
フォノイコライザーアンプ
フォノイコライザーはほとんどの場合増幅(AMP)と組み合わせてフォノイコライザーアンプとして製品化されている場合が多いです。呼称としてはアンプは省略してフォノイコライザーと呼ぶ事も多いです。
信号処理としてはピックアップコイルの電圧をアンプで増幅した後逆RIAA補正をかける構成で回路が組まれます。
ちょっと思いついた事
MCカートリッジの出力をA/D変換してデジタル化しDSP等で演算RIAA補正をしD/A変換できそう?
ただ、これはもはやアナログとは言えませんね。
0.1mVの信号を信号増幅無しでダイレクトにAD変換できるかどうかも??です。
一旦昇圧トランスかヘッドAMPで増幅してA/D変換⇒デジタル処理/RIAA補正⇒D/A変換しプリメイン、メインアンプにつなぐなんてオーディオ機器です。
もしあれば、デジタル処理でスクラッチノイズを消したり、経年変化による音質の変化を補正したりできるかも?しれません。
調べてみたらほぼ似たような商品がありました。
MC型/MM型カートリッジの信号をでUSB出力してPCに取り込みDSDファイル化したりすることができます。
KORG NU-1 USB DAC / ADCはMC/MMカートリッジ対応のアナログRIAA回路搭載プリアンプで色々な局面にも対応出来そうです。レコードをDSD録音する事も可能です。
おわりに
MCカートリッジを使った事の無いpoor-audioの私が、調べた内容なので、未だわからない所、確認不足の点もあります。特に機器同士の接続、PHONO入力に接続するのかAUX入力に接続するのか等、逐次内容を見直していこうかと思います。
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